舞台公演 「光源氏 さかさまに行かぬ年月よ」 2008年9月 再公演決定

“音かたり”絶妙コラボ

音楽、語り、華道・・・6人が誘う幻

琵琶の音色で幻想的な雰囲気を醸し出す東儀秀樹(後ろ左端が語りの橋爪淳)

 わが国が世界に誇る文学遺産「源氏物語」は、2008年に千年紀を迎えるとされる。これを記念した読売新聞大阪発刊55周年記念事業「源氏物語〜千年の時を超えて」シリーズの幕開けとなる舞台公演「光源氏 さかさまに行かぬ年月よ」が先月24日、大津市のびわ湖ホール大ホールで行われた。雅楽師・東儀秀樹ら6人による“源氏音(おと)かたり”には、1400人が参加、幻想の世界がくり広げられた。

様々な女性への愛を「歌と挿花」で表現する日野真一郎(左)と小川珊鶴

 直衣(のうし)装束の光源氏(東儀秀樹)が嫋々(じょうじょう)とかき鳴らす琵琶(びわ)の音。哀調を帯びたメロディーを奏でるバイオリン(古澤巌)、ジャズピアノ(塩谷哲)は高ぶる感情を繊細に表現して……。人の世の栄華の限りを尽くしてなお、無常の思いに苦しめられる晩年の光源氏の心の情景を、俳優・橋爪淳が切々と語り、若手テノール歌手の日野真一郎は、朗々と歌い上げる。そして、光源氏の孤独、うつろな内面を逆説的に象徴する、舞台上に大きく活(い)けられた常緑の松。華道家・小川珊鶴(さんかく)が、すべるように現れ大胆に挿花(そうか)する。

幾多の女性たちとの楽しい出会いを奏でる古澤巌(右)と塩谷哲
愛する者たちを失い虚脱した光源氏を演じる東儀秀樹

 「このキャストだからこそなしえた実験的パフォーマンス」(古澤さん)。「楽器に『こうでなくては』はない。そんな自由な表現が、自然に出来た」(塩谷さん)。「日本人だからこそ、『源氏物語』の繊細な心の動きを豊かに感じ取って頂けた」(東儀さん)。

 ミュージシャンとパフォーマー、舞台と客席が一体の、まさにコラボレーション(共同制作)の名にふさわしい、夢の競演となった。

2007年04月03日  読売新聞)